2011-05-26

ERA vs FIP

FIPを算出する目的は、投手本来の能力を見極める為である。
投手の制御下にならない部分を排除し、投手の責任と考えられる部分のみを計算の要素としているのはその為だ。
では能力を見極めてどうするのか?ということであるが、それはその投手の将来を予測する為である。。
つまりFIPは投手の将来の結果を予測する材料として、ERAより優れてなければならない。
言い換えれば、あるシーズンに記録されたERAとFIPそれぞれを、その翌シーズンに記録されたERAと比較した結果、過去のERAが過去のFIPより近い結果であるなら、FIPを算出する意味はない。

一方個々の投手全てにFIPによる予測が有効である必要もない・・・そのような指標があれば理想的ではあるが。
本来、私が示したNPB版FIPの式のそれぞれの係数は、投手個々に変化するものであると個人的には考えている。

例えばホームランの失点価値を1.583に定めているが、これは充分なサンプルサイズが重なった時に、最終的にこの数字に落ち着くであろうという想定となる。
しかしホームランを打たれやすいタイプ(一般的にはフライボールをよく打たれる投手)と打たれづらいタイプでは、自ずと失点価値も変わってくる。
極論になるが、全ての打者にホームランを打たれる投手がいると仮定すると、打たれたホームランは全てソロホームランとなり、つまりホームラン一本当たりの失点価値は1となる。

念のために書いておくが上のような事例はありえず、しかもこのような投手の失点期待値は常に無限大となるので、ホームラン一本の失点価値は計算不能となる。
ただそのような極端な事例を上げてまで何を書きたかったかというと、私が定めた(正確には2005年から2010年までのデータを使って仮定した)係数は、被本塁打、敬遠以外の四死球、奪三振、そしてBIPの機会数それぞれのバランスが平均的な場合に最も効力を発揮するのである。
勿論すべての個々の投手が何千イニング投げたとしても、全投手の平均的なバランスと同じに落ち着くはずもなく、つまり当初からある程度のぶれは想定しているわけで、そのぶれがどの程度あるのかも、FIPを使った選手予測には重要な要素となる。
またそのぶれがERAを使ったものに比べ仮に多かったとしたら、再度書くがFIPを使う意味は失われる。

前置きはこのくらいにして、実際に05年から10年までの投手の結果でERAとFIPを比較した。
ちなみに以下で出てくる”全投手”とは、2年以上連続して投球し、ワンアウト以上獲得できた全ての投手の意味である。
のべ人数は1078人であった。

※翌シーズンを予測する元となるデータ
2005年から2009年までの全投手ERA・・・3.68
2005年から2009年までの全投手FIP・・・3.65

※結果
2006年から2010年までの全投手ERA・・・3.70
結果から予測元をマイナスすると・・・
ERA・・・0.02
FIP・・・0.05
となりERAがより近い結果となったが、肝心なのは次である。

のべ1078人全員に対し結果マイナス予測元の計算を行い標準偏差によりぶれを求めた。
ERA・・・4.42
FIP・・・3.96

わかりやすく解釈して書くと・・・
あるシーズンERAが5.00であった投手の翌年のERAは・・・
・ERAを元に考えると、4.98プラスマイナス4.42(0.56~9.40)の枠内に7割弱程度の確率で収まるであろう。
・FIPを元に考えると、4.95プラスマイナス3.96(0.99~8.91)の枠内に7割弱程度の確率で収まるであろう。
と予測される。
参考URL

ワンアウト以上獲得した投手全てを対象にした検証でERAが異常に高い数字も含まれており、平均から標準偏差を引いた結果がマイナスとなる現実にはあり得ない結果となっているが、条件は両者とも同じであり、この条件で実用に耐えられるかどうかは別として、FIPを元に予測した方法が効力がありそうである。

それでは今度は、同じく2年連続以上投げた投手を対象に、両年ともに最低100打者以上と対戦した投手を限定して検証する。
のべ人数は601人。
2005年から2009年までの対象全投手ERA・・・3.54
2005年から2009年までの対象全投手FIP・・・3.55
結果
2006年から2010年までの対象全投手ERA・・・3.57
ぶれ
ERA・・・1.06
FIP・・・0.90
ERA5.00であった投手での解釈
・ERAを元に考えると、4.97プラスマイナス1.06(3.91~6.03)の枠内に7割弱程度の確率で収まるであろう。
・FIPを元に考えると、4.98プラスマイナス0.90(4.08~5.88)の枠内に7割弱程度の確率で収まるであろう。

とりあえず今回はここまで。
次回は別な検証でERAとFIPを比較してみる。


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